2020/02/04 13:19

【7/26(日)に延期】日田にオペラを。バリトン・佐藤克彦くんの挑戦

日田にオペラを。バリトン・佐藤克彦くんの挑戦

【日田にオペラを。バリトン・佐藤克彦くんの挑戦。】

 まず最初に、皆様にスケジュール帳をチェックしていただきたい。

 7/26の昼13:00。日田の祇園祭で昼から練り歩く山車と雅な音楽が彩る日。祇園に出かける足で、余裕があるなら日田に出かけてみることをお勧めしたい。これはお願いではなく、心からのおすすめなので、どうか時間のある方は最後までこの文章にお時間を…。

   私の教え子だった、東京藝術大学修士課程オペラ科で学ぶ佐藤克彦くんのバリトンリサイタルが予定されている。(開演13:30、一般2000円、学生1000円 パトリア日田小ホール)

 

  私自身、あまり胸を張れないことだけれどオペラやクラシックにまるで関心がなかった。それは貴族の世界のもののようで高尚で…お高いもの、例えるなら銀食器みたいなイメージで、失礼ながら身近に感じる機会がなかった。

 それが、佐藤克彦くんが昨年行った日田でのバリトンリサイタルで大きく変わった。

 こんなことに例えるのはなんだが、私にとっての落語にハマったと似た感覚の目覚めだった。

 自分に関係ない、そう思っていた落語も、大学の授業でその成り立ちや言葉の意味、寄席という場所のあたたかさを知ったら途端に身近に感じ、それから東京に行くたびに足繁く寄席に通っては8時間笑いっぱなしの時間を過ごす楽しみができた。人生は豊かになった。

 要するに、文化に壁を作るのはとてももったいない。まずは見てみないと感じてみないとわからないことだらけなのが芸であり、芸術なのだと思う。

 以前も書いたが、克彦くんはまだ私が心身のバランスを崩した初期ごろ、祖父母のいた日田で療養していたときに、勉強や、小論文をみた、教え子で、そして、その恩を祖父母へのピアノコンサート、亡くなる前年の祖父の老人ホームでのコンサートで、返してくれたあたたかい心優しい青年。

 受験生だったあの頃はシャイで挨拶もままならなかった彼が、前回のリサイタルでプロ意識の高いステージを見せてくれた。

 彼のプロ意識は歌声だけでない。「伝える」ための親切な努力にもある。曲に入る前にはその曲の背景、出てきている人のキャラクター、ときに笑いを交えて器用に説明してくれる。昨年は、同じ声楽を志す友人とオペラの人間らしさを伝えた。

 たとえば、シンデレラ。シンデレラといえば皆さんガラスの靴を思い浮かべるだろうけれど、オペラでは腕輪なのだとか。「へぇー、ほぉー」と思っているうちに、小さな体からは想像もできないようなパワーの歌声で、そのストーリーを日本語ではないのに手にとるように見せてくれる。

 彼にとって日田市は青春の場、中学では駅伝を走り、お母さま(私のピアノの先生です)に厳しくピアノを教えてもらい…そして、たくさん悩み、努力して、進学校への道でなく、高校で日田を離れた。音楽の道を走り始め、ピアノ科から声楽科、それから、今では声楽科卒業時に藝術大学音楽学部の同声会賞を受賞するまでの男に。

 正直私もここまでとは、信じていたけれど嬉しい予想超えだった。

 本人曰く「九州の男だからか、ブレない、諦めたくないという思いが人一倍強い」。そうだろうと思う。歌う彼の目にブレはない。歌にこもった心に偽りがない。

 本当に今、観ていて損はない。むしろ得しかない舞台。

 ちなみに前回はイタリア含め数カ国の国のオペラを歌ってくれたが、わたしから見ても、彼には断然イタリアが似合っていた。そう伝えた気もする。

 今回のテーマは「日本とイタリア」英語の勉強も大変だった彼が、イタリア語で、世界で、人間皆に伝わるものを伝える。それもあえて、クラシックの文化が届きにくい盆地の田舎、日田市で。故郷の祇園囃子が鳴り響く日に。

 この若者のチャレンジ、きっと後から、「観ていてよかった」と思えるものになる。教え子可愛さでなく、本気でいつか、チケットを取っておいたら、大きなオペラの舞台で彼を誇らしくみる日がきっと来る。

 仕事の疲れを吹き飛ばす祭りの掛け声とともに、音楽のシャワーはいかがだろうか。イタリア人のような陽気な気分で、日常をわすれてみるのも粋だと思う。夜には祇園囃子と夜店を楽しんで、私の心の故郷日田を満喫もしていただきたい。日田の山車は夜の提灯がとてもとてもきれい。日本に住んでいることを思い出し、イタリアを思う。きっと忘れられない日になるだろう。

 大分県人の責任として彼が歌い継ぐ滝廉太郎に、私は涙が止まらなくなる。日本人の心を、亡き人の面影を思い出す時間をもらう。みなさんはどうだろう。

 そんな時間を暑い夏の夜、心の豊かさのため、そして若き音楽家の未来のため、ぜひ彼のために。

 というわけで、佐藤克彦くんについてはまた第二弾を書くかもしれないけれど、とりあえず皆様にお伝えしたいことがあふれたので、ここに記した。

 

 さあ、克彦、頑張れ。

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